資金繰り表の作り方|3日で完成する実務手順2026
この記事の要点
- 収入・支出・差引残高の3項目で月別に作るのが基本手順
- エクセルでの作成は数式を組めば3日程度、更新は月30分程度で可能
- 融資申込時は返済原資の根拠として整合性の確認が重要
資金繰り表は「入金・出金・残高」を月ごとに並べれば作れる
資金繰り表の作り方は、①過去の入出金を集める、②月別の表にする、③入金・出金・差引残高の3段構成にする、という3ステップで完成します。特別なソフトは不要で、エクセルやスプレッドシートの表計算機能だけで、慣れれば3日程度あれば自社用のひな形を作成できます。
資金繰り表は損益計算書とは異なり、「利益が出ているか」ではなく「手元の現金がいつ・いくら残るか」を見るための表です。黒字でも支払いが先行すれば資金ショートが起こるため、金融機関への融資相談や日々の経営判断において欠かせない資料になっています。
資金繰り表に必要な3つの項目
資金繰り表は大きく分けて次の3項目で構成します。項目名は会社によって多少違いますが、考え方はどの業種でも共通です。
- 収入の部:売上入金、借入金の入金、その他収入など現金が入る項目
- 支出の部:仕入、人件費、家賃、返済額、税金など現金が出ていく項目
- 差引残高:前月繰越残高に収入を足し、支出を引いた当月末の現金残高
この3つを月ごとの列に並べ、少なくとも6か月先、できれば12か月先まで見通せる形にしておくと、資金が不足しそうな月を事前に把握できます。
エクセルで作る場合の具体的な手順
- A列に「前月繰越」「売上入金」「借入金入金」「仕入支払」「人件費」「家賃」「返済額」「差引過不足」「翌月繰越」などの項目を縦に並べる
- B列以降を1月、2月、3月……と月ごとの列にする
- 過去の通帳や会計ソフトのデータから、各項目の実績を月単位で入力する
- 「収入合計-支出合計=差引過不足」の数式を入れる
- 「前月繰越+差引過不足=翌月繰越」の数式を入れ、翌月の前月繰越欄に自動反映させる
数式を一度組んでおけば、翌月以降は実績を入力するだけで残高が自動計算されるため、月次更新にかかる時間はおおよそ30分程度まで短縮できます。
実績と予定を分けて管理する
資金繰り表は「実績版」と「予定版」を分けて作成すると精度が上がります。実績版は過去の確定した入出金を記録し、予定版は今後3〜6か月の見込みを入力します。両者を見比べることで、予定と実績のズレを早期に発見でき、資金不足の兆候を数か月前につかめるようになります。
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詳しくはこちら →よくある失敗パターン
資金繰り表の作成でつまずきやすいのは、次のようなケースです。
- 損益計算書の数字をそのまま転記してしまい、入金タイミングのズレを反映できていない
- 売掛金の入金時期を「売上が立った月」にしてしまい、実際の入金月とずれる
- 借入金の返済額を支出項目に入れ忘れ、残高が実態より多く見えてしまう
- 季節変動のある業種で、繁忙期の数字だけを基準に年間を見積もってしまう
- 一度作って終わりにしてしまい、半年後には実態と乖離した表のまま放置される
こうした失敗は、売掛金の回収サイトや支払いサイトを項目ごとに書き出し、入金月と支払月を分けて管理することである程度防げます。資金繰り表は一度作って終わりではなく、毎月実績を反映しながら更新し続けることで初めて意味を持つ資料になります。
資金繰り表が必要になる場面
資金繰り表は、日々の経営判断だけでなく、次のような場面で求められることがあります。
- 金融機関に融資を申し込む際の添付資料として
- 既存の借入について条件変更(リスケジュール)を相談する際の根拠資料として
- 投資や採用など大きな支出判断を行う前のシミュレーションとして
融資審査では、事業計画書とあわせて資金繰り表の提出を求められることが多く、将来の返済原資をどう確保する見込みかを数字で示す必要があります。作成にあたっての基本的な考え方は日本政策金融公庫の公開情報も参考になります。
どこまで自社で作り、どこから専門家に相談すべきか
月次の実績入力やひな形の作成自体は、経理担当者や経営者本人でも十分に対応できる範囲です。一方で、複数の借入条件を踏まえた返済計画の組み方や、融資申込用に説得力のある資金繰り表へ仕上げる作業は、財務の知識と経験が必要になる場面があります。
特に創業期や事業拡大期は、売上の見込みと支出のタイミングが読みにくく、資金繰り表だけでなく事業計画全体との整合性を取る必要が出てきます。自社だけで判断が難しいと感じた場合は、顧問税理士や中小企業診断士、商工会議所の経営相談窓口などに相談する選択肢もあります。制度融資や経営相談に関する一般的な情報は中小企業庁でも確認できます。
まとめ
資金繰り表の作り方は、収入・支出・差引残高の3項目を月別に並べ、実績と予定を分けて管理することが基本です。エクセルでの作成はおおよそ3日程度で形になりますが、融資申込など重要な場面で使う場合は、数字の根拠や返済計画の妥当性まで含めて見直すことが望ましいといえます。まずは自社で簡易版を作成し、必要に応じて専門家の確認を受ける流れが現実的です。
よくある質問
- Q. 資金繰り表はエクセル以外でも作れますか
- A. 会計ソフトに付属するテンプレートや、クラウド会計サービスの資金繰り機能でも作成できます。ただし自社の入出金サイクルに合わせて項目を調整する作業は、どのツールを使っても必要になります。
- Q. 資金繰り表と資金繰り予定表の違いは何ですか
- A. 資金繰り表は過去の実績を記録したもの、資金繰り予定表は今後の見込みを入力したものを指すことが一般的です。両方を並べて比較することで予定と実績のズレを把握しやすくなります。
- Q. 個人事業主でも資金繰り表は必要ですか
- A. 法人でなくても、売上の入金と仕入・経費の支払いにズレがある場合は資金ショートのリスクがあるため、簡易的な資金繰り表を作成しておくことが望ましいとされています。

